アメリカ在住の新二世の場合
大学進学の準備は、いつ何をすべきか?日米の大学を併願した場合を想定し、原田さんにスケジュールを教えてもらいました。
10年生以下
【将来の目標設定】
将来を考えることが進学準備のスタートです。社会に出てから数年後に、どこで何をしていたいのか考えましょう。自分の興味のある分野を広げたり、深く掘り下げたりすることが、進学準備に役立ちます。
【日本語学習】
将来日本で学ぶ可能性が少しでもあるなら、日本語の学習は不可欠です。英語で学べる日本の大学に進学する場合でも、進学後に日本語力は必ず必要となります。毎日少しずつでも日本語に触れる機会を作りましょう。
【大学訪問】
大学訪問の開始に早過ぎることはありません。日本の大学を目指す学生も、日米を比較できるのでアメリカの大学を訪問することを勧めます。アメリカの大学は通年キャンパスツアーを実施しています。
11年生
【高校の学習】
日米を問わず、入学審査で重視されるのは高校の成績。最も重要なのが11年生の成績です。日々の学習に地道に取り組みましょう。
【テスト対策】
ACTとSATを受けましょう。入学審査は、ACTとSATのどちらかのスコアがあれば十分ですが、自分に合うテストを見極めるため、まずは両方1回ずつ受けることをお勧めします。11年生の後半に自分に合う方のテストを再び受け、スコアアップを目指しましょう。また、SAT Subject Testのスコア提出を義務付ける日本の大学は少ないですが、任意で提出はできます。納得のいく点数が取れれば入学審査で評価してもらえます。学期の最後に受けると高得点が狙いやすいので、5月か6月に2科目程度受けるといいでしょう。ただし、日本語のSubject Testを受けられるのは11月のみです。
【大学訪問】
夏休みは日本の大学のオープンキャンパスが数多く開催されます。春休みは、アメリカの大学も訪問するのに良い時期です。キャンパスツアーは、オンラインで申し込めます。家族で参加することをお勧めします。
【推薦状の手配】
実際に書いてもらうのは12年生の秋以降ですが、11年生が終わるまでに、大学に提出する推薦状を書いてもらえる先生を2名確保しておくと安心です。
11年生が終わった夏休み
【大学のリストアップ】
進学先の候補をリストアップします。日本の大学を選ぶ際は、学習方法(日本語か英語か)や、秋入学か春入学かで、申込期間が異なります。プログラムによっては、日本以外の国籍を有することが条件の場合もあるので、要件を確認してください。日本の大学進学を目指す学生も、途中で気が変わることもあるかもしれないので、アメリカの大学もリストアップすることをお勧めします。
【エッセーの準備】
自分の今までとこれからを文章で表現できるように、まずはブレインストーミングを行います。ブレインストーミングで得られたアイデアを形にするには時間がかかるので、先送りせずに計画的に取り組みましょう。
12年生
【スケジュール作成・アプリケーション提出】
志望校が決まったら、各大学の締め切りに合わせてスケジュールを立てます。高校の成績や推薦状の手配、テストスコアの手配、願書の提出、面接日程など、必要な書類や手続きを管理しましょう。日米どちらの大学も締切日を複数設けている場合があります。その場合、早い締切日に合わせて提出してください。
日本の塾講師が明かす 留学・進学ここに注意!
いざ日本への留学・進学を決断! しかし、アメリカから日本の大学への受験には注意が必要です。日本の塾講師、尾崎さんに過去の事例を伺いました。学習塾として、我々の経験から新二世が日本の大学入試で気を付けたいことを紹介しましょう。
①現地校の先生の書類不備
現地校の先生に大学所定の推薦書用紙を渡したにもかかわらず、違う用紙に書いてこられたことがあり、慌てて書き直してもらいました。必要な書類はコピーを取って見本を書き、このように書いてほしいと先生に具体的にお願いするのが得策です。
②英語の資格試験が受けにくい&指示が曖昧
帰国生入試は英検やTOEICの結果の提出を求める大学が多いのですが、アメリカでは受験機会が限られているので注意が必要です。英検準1級以上を所持していれば、多くの大学の受験資格を満たすでしょう。
また、IELTSのスコアを要する大学もありますが、IELTSにはAcademicとGeneralの2種類があるので、どちらのスコアがいるのか確認してください。以前、ある大学のウェブサイトにはどちらのスコアが必要か明記されていない上、私と保護者への説明が食い違い、当校の生徒が受験できなくなりそうになったことがありました。私が大学に出向いて交渉し、その生徒は無事に受験でき、合格したこともありました。
③過去問が手に入りにくい
人気校は帰国生入試の過去問を出したがらない傾向にあります。過去問など存在しないと言う大学すらあります。しかし、そういった大学も、教育関係者だけに公開する場合もあります。ですから、塾などを通じて過去問を入手するのは手です。逆に過去問をオープンにして、受験生に配布している大学もあります。
不明な点は大学に直接問い合わせることが大事です。口コミは的を外している場合もありますし、大学が去年と今年で入試方法を大幅に変更するのはよくあることですから。
最後に私からのアドバイスですが、現地校での学業以外の活動、例えば、スポーツやボランティアの実績があると帰国生入試では有利です。日本の大学は現地校の学力レベルが分かりませんし、世界中から来る受験生を比較しなければなりません。そのような状況で大学の決め手は学業以外の活動や面接で出てくる人柄など数値化されない部分です。学外での経験をプレゼンできるように準備しておくといいですね。
※このページは「ライトハウス・ロサンゼルス版2017年4月1日号」掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
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