日本の大学に向いている学生とは?

それでは、特にどのような子が日本の大学に向いているのでしょうか。

どのような子が日本の大学進学に向いている?

1. 日本が好き

日本のことや文化を深く学びたい、日本語を学びたい、そのような意欲のある学生は日本への進学が近道です。

2. アメリカの大学を中退、アメリカの大学に不合格

アメリカの大学を中退してから、キャリアを積むのは大変です。中退後、日本でキャリアを再構築するのも一案です。

また、日米の入試日程の差を利用し、日米の大学を併願して受けては?と提案するのは、GATE現地校学習塾の熊野塾長。「日本の秋入学試験は12年生の12月~5月。つまり2、3月にアメリカの大学の結果が出た後にもチャンスがあります。春入学だと高校卒業後~翌春が入試です。アメリカの大学の結果に応じて、コミュニティーカレッジはもちろん、日本の春入学、秋入学と選択肢があるのが、新二世と帰国生の強みです」と話します。

3. 性格

アメリカの大学は学生の自主性や積極性が重んじられ、授業でも常に発言が求められます。こういった風土が合わない子は、講義型の授業が中心の日本の大学の方が向いているかもしれません。

4. 教育に興味がある

日本では、英語4技能を重視するなど、英語教育が転換期を迎えていますが、高いレベルの英語教師は不足しています。英語や教育に興味があれば、日本で英語教員を目指すのも1つの手です。

新二世の日本の大学進学のメリット

日本の大学の良さってなんでしょうか? 日本の大学の魅力や、新二世が日本の大学に進学するメリットには、次のようなものが考えられます。

専門知識を1年目から学べる
アメリカの多くの大学と異なり、入学時に専攻する学科を決めることが多い日本の大学。日本には1年生から専門科目を学べる大学がたくさんあります。

日本文化や日本社会を体験し、学べる
日本での生活を実際に体験することで、真の日本を知ることができ、国際人としての視野が広がります。

日本で就職の情報を得やすい
将来、日本での就職を目指す場合、日本の大学に進学すれば、多くの仲間と協力して取り組むことができます。

アメリカより治安が良い
初めての1人暮らしなら、気になるのが治安。進学先によってはサポート体制が充実していたり、親戚が近くにいたりする場合もあるでしょう。

また、日本では政府主導で20年までに留学生を30万人にする「留学生30万人計画」を実施中です。多くの大学でグローバル化を押し進めており、外国人学生獲得に熱心で、授業でも英語が重視されつつあります。さらに日本は大学入試改革(詳細はこちらの「高大接続改革」参照)まっただ中で、新二世が日本の大学に進学するには多彩な入り方が用意されています。全体的にどの大学も、日米2つの文化を理解した新二世の入学に対して歓迎ムードです。

経済的な面では、アメリカの私立大学と日本の私立大学を比べた場合、学費はおよそ三分の一から二分の一程度というケースが多いようです(ただし奨学金は除く)。為替にもよりますが、生活費も寮などに入ることができれば、日本の方が比較的安価に抑えられそうです。

大学の現場から:新二世の活躍が日本のグローバル化の鍵

英語もアメリカの文化も自分のものになっている、そんな新二世が日本のコミュニティーに入れば、間違いなく日米の架け橋になるでしょう。新二世は、生活習慣や考え方など、日米文化の翻訳家。大学にそういう人が入ると、日本人だけの集団から生まれる思考とは異なる別の考え方が入り、お互いにとって良い刺激になります。もちろん、英語力の高さは言うまでもなく、これも他の学生にとっては良い刺激になります。また、新二世にとっても日本人だけのコミュニティーに入ることは、将来へ向けて素晴らしい経験になるでしょう。

私の学部には多くの外国人講師がいますが、彼らが言うには、自分の話すことのどのあたりが日本人にとって分からないのかが分からないそうです。でも、大半の新二世は、アメリカ人にとって日本人のどのあたりが奇妙か、逆に日本人がアメリカの何に違和感を感じるか分かるはずです。実は、これはすごく大きな強みなのです。日米の差異を感覚的に理解できる新二世は、日本のグローバル化の鍵を握る重要な存在であると確信してます。

各務洋子学部長取材協力:
駒澤大学グローバル・メディア・スタディーズ学部
各務洋子学部長
TEL:(日本81)3-3418-9048(入学センター)
駒澤大学ウェブサイト

採用の現場から:グローバル市場で活躍できるチャンスの多い新二世

グローバル人材紹介会社である当社のクライアント企業が求めているのは、社会の変化が常態化する中で、さまざまな人と恊働し、自分で考え、変化に適切に対応できるスキルを持つ人材です。

グローバル化もあり、日本企業はここ数年、外国人の採用も積極的に進めていますが、問題は定着率です。日本流の企業環境やマネジメント、生活習慣などに馴染めないケースも多いので、新二世が日本留学や進学を通して就労前に日本人の気質や企業の構造などを実感できるのはお互いにとってメリットでしょう。

企業において、新二世は、日本人としてのメンタリティーを持ちながらも多様性・国際感覚を有していることなどが評価されています。

グローバル市場で事業運営・成長戦略を推進していく企業であれば大小かかわらず新二世の活躍できるチャンスは大きいでしょう。今後、海外で展開しようとしているスタートアップベンチャーや内需型企業(業界)なども個人としての力が発揮しやすく、多くの新二世に向いていると思います。

竹内浩マネージングディレクター取材協力:
ライトハウス・グローバル
竹内浩
マネージングディレクター
Lighthouseグローバルウェブサイト

※このページは「ライトハウス・ロサンゼルス版2018年4月1日号」および「ライトハウス・ロサンゼルス版2017年4月1日号」掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。