日本の大学への進学、留学を考えたとき、どんな選択肢があるのでしょうか?
留学の特徴
日本の大学の多くはセメスター(2学期)制。アメリカの大学に在籍しながら、日本の大学に留学する場合、1(半年)または2セメスター(1年)の留学が主流です。留学の場合、大学の主旨としても、本人の意思としても日本文化の理解や日本語の習得がメインになるので、多くの場合、日本語で話すことが求められます。一部、英語の授業もあるかもしれませんが、基本的には日本語で学ぶと考えておいたほうがいいでしょう。
アメリカの大学の学生として交換留学を考えているなら、進学を志望するアメリカの大学に日本のどこの大学と提携しているかを確認するのが早くて確実です。アメリカの大学を休学して個人的に留学しても、日本の大学でとった単位をアメリカの大学から個別に認定してもらえる場合もあります。
また、短期留学でも奨学金は得られます。下記のリストや気になる日本の大学のウェブサイトなどを調べてみましょう。
進学の特徴
日本の大学を選ぶとき、まず大きく分かれるのが、日本語で学ぶか英語で学ぶかです。従来からの日本語で授業を受けるパターンに加え、近年は英語で授業を受けられる日本の大学も増えてきています。海外からの学生獲得のため、英語での授業が主流のカリキュラムを作っている大学も増えています。英語だからといって外国人だけが教室にいるわけではなく、ある程度の英語ができる日本人も対象です。しかし、日本で全て英語のプログラムを作るには限界があります。英語で受ける場合、取れるクラスが限られていたり、教える先生も限られていることから日本の通常と同じレベルの授業が受けられるとは限りません。英語がメインのプログラムを志望する際は自分が学びたい分野の授業が取れるのかを確認しましょう。
英語が主流のカリキュラムでも日本語で行われる授業の受講が義務付けられていたり、メインは日本語ながらも英語力を磨き上げるプログラムを用意していたりする学校もあります。英語と日本語の授業の割合は大学や学部によって異なりますが、100%英語だけで過ごすことはあまりないようです。
海外から新二世が受験する場合、帰国生入試を思い浮かべる人も多いでしょうが、帰国生入試枠を作らず、帰国生はAO入試で受けてもらうという大学も増えています。また、新二世は外国人留学生入試や公募推薦入試、英語と中心とした一般入試なども利用できるでしょう。一般入試以外は出願期間や試験日程がバラバラで長期にまたがり、受験資格の条件も大学によって多種多様ですから注意が必要です。
「英語4技能試験」とは?
現在、日本の教育界で、子どもの英語力の向上は大きな課題となっています。20年には英語の授業は小3から開始。小中高を通じて、読む、書く、聞く、話すの4技能が重要視され、今まで読解が中心だった大学入試も4技能が試されるようになります。これにより、新二世が力を発揮しやすい入試に変わる大学も出てくるかもしれません。また、4技能をバランス良く教えられる英語教師の需要が高まっているものの、ネイティブ並みの英語力を持つ教師は圧倒的に不足しています。バイリンガルで教育に興味がある新二世なら、日本の大学で教員免許を取り、将来は英語教師として活躍する、そんな未来もあるかもしれません。
情報の集め方
現在、日本にある大学は775校(2016年、文部科学省)。ここから志望校を絞るのは至難の業です。まずは、住みたい地域の大学、もしくは興味のある学術分野のある大学を手がかりに探してみましょう。次のサイトは進学先を考えるヒントになるかもしれません。
外務省による留学情報総合サイト
●Gateway to Study in Japan
日本学生支援機構による留学情報総合サイト
●Japan Study Support
アジア学生文化協会による留学情報総合サイト
●日本学生支援機構
留学生支援や奨学金情報もあり
【気になる数字】
日本の15~24歳の完全失業率は4.3%(データ元:2017年1月、総務省統計局労働力調査)。新卒採用という枠を設ける企業が少なく、高卒大卒者が最初の就職先を見つけるのが大変なアメリカ。日本は企業が一斉に新卒採用を行うので、新社会人としてスタートしやすい国と言えるかもしれません。(※データ元:2017年1月、U.S. Bureau of Labor Statistics)
卒業が難しいアメリカの大学。4年制大学の卒業率は2/3以下となっています。一方、日本の大学卒業率は81.24%(2014年文部科学省委託調査「大学教育改革の実態の把握及び分析等に関する調査研究」)となっており、これは先進国の中でもかなり高い割合です。(※データ元:www.collegeatlas.org)
昨春の日本の大卒就職率は前年同期比0.6ポイント増で1997年の調査開始以来、過去最高の数字となりました。男女別では女子(98.0%)が男子(96.7%)を4年連続で上回り、文系は97.1%、理系は98.2%でした。(※データ元:2016年4月1日、文部科学省就職状況調査)
進学留学の疑問/選び方、お金、受験
アンケートで小学生から高校生の子を持つ保護者から寄せられた疑問や不安に、教育コンサルタントの原田さんがお答えします。
日本の大学は今、戦後最大と言われる教育改革のまっただ中にあり、20年から実施される高大接続改革(左ページコラム参照)以降、大きく変わるはずです。ですから、この大学は今どうか?よりも、これからどの大学が伸びるのか?ユニークなプログラムを作るのか?の見極めが大切になってきます。入試制度改革が進み、大学のグローバル化が進むと、大学の格差が広がることが予想されます。知名度の高い大学が生き残れる保証はどこにもありませんし、既にグローバル対応が遅れている国立大学もあるわけです。過去にどの大学が帰国生に好まれていたかは、これから先の大学選びではあまり役に立たないかもしれません。今の小中学生が大学に進学する頃、日本の大学の状況は今と全然違う可能性は大いにあります。気になる大学には一時帰国の際などに足を運び、自分の目で見るのが一番でしょう。
もうひとつ、注意したいのは英語で入試が受けられる学校です。日本語が必要ないのはあくまでも入る段階でのことで、大学側は入学後に日本語のクラスで学んでほしいわけです。「入試で必要ない=勉強しなくていい」ではありません。大学も経験上、ある程度の日本語のバックグラウンドがある方が教えやすいし伸びると分かっているので、同じような学生がいたら、全く日本語ができない学生よりもある程度できる学生に優先して合格通知を出すでしょう。日本へ行くからには、日本語の勉強は必須と覚悟しておいてください。
アメリカの大学に在籍し、交換留学で提携している日本の大学に行く場合、アメリカの大学が設定している交換留学の条件をクリアしていれば、日本の大学のアドミッションでトラブルになることはないと思います。
また、大学によっては、生活費の目安も書いています。ウェブサイトに書いていない学校も、直接問い合わせれば大概教えてくれます。あとは寮に入れるか否か、住む地域で生活費は変わるでしょう。
アメリカの大学進学は、受けてみないと分からないところがあります。SATのスコアは参考情報であり、その情報だけで入れるか予測できるほど簡単ではありません。日本の大学もこれからそういう方向に変わっていくはずです。今行われつつある日本の入試改革では、生徒を点数だけで切らず、アメリカのようなやり方で人物評価をする方向に変わろうとしています。ですからテストの点数だけで合否を決めるわけではない。東大だって模擬試験の結果だけでは入れるかどうか予測できない、そういう時代になろうとしています。既に東大は16年から推薦入試を導入しました。偏差値だけでは測れない魅力ある学生が欲しくて始めたわけです。こういう動きが広がると、アメリカの大学同様、どこに入れてどこに入れないのか予測がつかなくなります。なので、高校でできる限り頑張って満足いく成績を収めた上で、行きたい大学をいくつか受け、結果を見て決める。日本の入試もそういうふうになるでしょう。特に海外から来る学生に関しては、成績以外の面でも魅力的な学生を呼びたい日本の大学の意向はあります。
あの大学に入るにはこれくらいの学力・偏差値という親世代の考え方は時代に合わなくなってきます。日本の大学入試が大きく変わりつつあることをまず心得ておいた方がいいでしょう。
15年に野村総合研究所の発表したデータによると、現在、日本にある仕事の49%は10~20年後にAIやロボットに置き換えられるそうです。今まで良い仕事と言われていた仕事が良い仕事のままとは限らないし、新たな仕事もたくさん生まれてくるわけで、親世代の成功体験は役に立ちません。そういう時代を生きていく子どもたちに必要なのは、世の中が変わっても生きていける力でしょう。具体的に今できるのは、得意科目、芸術的才能、リーダーシップやスポーツなど、何か得意なことを伸ばすことです。勉強と課外活動を高いレベルで頑張れれば、人間としても相当成長できるはずですから、成長したその先に、良い進学が待っていると言えるでしょう。子どもの長所を伸ばしてあげる、親にできるのはそれに尽きます。
※このページは「ライトハウス・ロサンゼルス版2017年4月1日号」掲載の情報を基に、【日本の大学リスト2018 保存版】は「ライトハウス・ロサンゼルス版2018年4月1日号」掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。
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