海外から日本の大学への進学・留学前に知っておきたいこと(2024年最新)

パンデミックが収束し、日本への行き来も以前のように簡易になりました。今回は、現在アメリカ在住で、今後日本の大学への進学・留学を検討している人を対象に役に立つ情報をお届けします。
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日本の大学に行くメリットとは?

日本の大学進学フェア」を開催しているライトハウス社でコーディーネーターを務める廣田恵子に、日本の大学に行くメリットについて聞きました。


近年日本の大学は、国際化の推進を目指し、国公立・私立を問わず、積極的に海外からの学生を受け入れようとしているため、海外生が日本の大学に進学するメリットは大きいと言えます。

まず、英語圏から優秀な学生に来てほしいという思いもあり、アメリカの受験制度のように書類審査での合否決定、英語で学べるコース(学部)、秋入学、海外生のための奨学金制度などを整える大学も増えました。また、学業だけでなく、生活・メンタル面でのサポートを提供するなど、日本語能力や日本での暮らしに不安がある留学生を手厚く支援しています。

親御さんにとっては負担の大きい学費も、文科省によると令和5年(2023年)度の国公立大学における授業料は年間約53万5800円(2024年4月1日より、国立大学の留学生授業料は自由化されます)、私立大学(四年制)は約96万円です。特に、アメリカに住んでいる人にとっては円安も追い風となっているでしょう。

アメリカ生まれや海外生活が長いお子さんにとっても、旅行や帰省などの一時的なものではなく、日本で地に足を付けて学業に励むことは人生においてとても良い経験になると思います。

夏休みを利用して、気になる大学のキャンパスを見学する機会を設けたり、大学フェアなどのイベントに参加したりすると、お子さんはもちろん、親御さんも進学・留学のイメージをしやすくなってくると思います。

海外から日本の大学への進学・留学に興味を持ったら 〜 知っておきたいこと、やっておきたいこと

1. アドミッション

アメリカなど海外に住む人が日本の大学に進学・留学する場合は、まず興味のある大学の入試方法を調べてみましょう。「外国人留学生入試」を導入している大学なら書類やエッセー、SATやACTなどアメリカの大学と同じようなアドミッション制度を採用していることも。「帰国生入試」の場合はこれに加え、特定科目の学力試験などを課す場合もあります。日本国籍を持つ・持たないによって、受けられる入試も変わります。それ以外にも一般・推薦入試、AO入試などもあります。当サイトの大学紹介ページに掲載の受験制度情報を参考にしてください。

2. 学費

日本の大学では、学費と呼ばれるのは一般的に「入学金(1年次のみ納める)」「授業料」のほか、「施設費」「実習費」「諸会費」などを合わせたものです。理系学部や医学・医療系学部では、特に学年が上がると実習費が多くかかる場合もあるので、卒業までにどれぐらいの費用がかかるか、トータルで見ることが大切です。 日本では大きく分けて「国立」「公立」「私立」に分かれており、ほとんどの国立大学が同じ金額を採用、公立大学は、都道府県や市など居住地によって入学金が異なるケースがあります(授業料は国立大学の金額にほぼ準ずる)。そして私立大学は学部・学科の種類などによって学費が異なります。

3. 奨学金

日本国籍を持っている場合は、いつからどこに住んでいるか、親の所得などによっても受給できる額は異なります。日本学生支援機構が最も有名ですが、地方公共団体の奨学金、民間育英団体の奨学金(新聞奨学会など)、大学独自の奨学金もあります。外国人向けの奨学金には、日本に来る前に申し込むものと、来た後に申し込むものがあります。いずれも、日本学生支援機構のウェブサイトなどから検索が可能です。ちなみに日本では返済の必要な「貸与型」奨学金も多いため、きちんと確認しておきましょう。

4. 住環境を知る

大学に合格し日本に住むことが決まったら住む場所を探す必要があります。大学によって学内に寮があったり、提携のアパートなどの案内をしたりしているので早めに調べておきましょう。住環境を知る方法として、大学が開催している「オープンキャンパス」「体験授業」「キャンパス見学」に参加すると、大学の担当者に直接確認することができるので、寮がある場合は見学させてもらえるかもしれません。また、大学周辺のアパートや町の雰囲気なども知ることができます。

5. 大学の情報収集

日本の大学の情報をまとめたサイトもあるので、進学・留学を考えたら、以下で調べてみましょう。

  • Study in Japan | ウェブサイト 
    文部科学省および外務省協力の下、日本学生支援機構が運営するサイト。
  • 独立行政法人 日本学生支援機構 | ウェブサイト 
    奨学金、留学生支援、学生生活全般を支援するサイト。
  • Japan Study Support | ウェブサイト 
    アジア学生文化協会による留学生情報総合サイト。

 

日本の大学の受験資格&学費が「国籍の選択」によって変わる?
2022年4月より、日本の法律では「国籍の選択」をすべき期限(年齢)が変更となり、従来から実質2年早まっています。国籍の選択によって、日本の大学の受験資格やカリキュラム、留学生を対象とする奨学金の受給、学費などが変わってくることもあるため、事前に確認しておきましょう。


国籍を選択すべき期限

【従来】
・ 20歳に達する以前に重国籍となった場合:22歳に達するまで
・ 20歳に達した後に重国籍となった場合:重国籍となった時から2年以内

【現在(2022年〜)】
・ 18歳に達する以前に重国籍となった場合: 20歳に達するまで
・ 18歳に達した後に重国籍となった場合:重国籍となった時から2年以内

 

日本の大学での留学生のサポートや海外から学位を修得できるプログラム

留学生の入試やサポート、また海外から学位を修得できるプログラムなど、日本の大学3校の担当者にお話を伺いました。

立教大学|留学生対象の入試は複数あり。「筆記試験・面接・日本への渡航」なしで可能なプログラムも!

留学生対象の入試を含め、渡航時や生活面・メンタル面にも手厚いサポートあり!

日本の大学進学・留学特集 立教大学

 回答者:立教大学・国際化推進機構 吉田友子さん

留学生対象の入試方法を教えてください。
本学には留学生を対象とした入試がいくつかありますが、その中でも、「PEACE プログラム(*)」は英語で展開する科目のみで、単位修得および卒業が可能な4年間の学士課程です。

この入試は「筆記試験なし」「面接なし」「受験に際して日本への渡航の必要なし」で、書類審査のみで合否を判定する「受験生の利便性を最大限考慮」したプログラムです。現在、法学部、異文化コミュニケーション学部、そしてGLAPG(Global Liberal Arts Program)の3学部があります。

入学時期は4月または9月から選ぶことができます。2025年入学者を対象とした入試の時期や出願要件は、2024年8月頃に公開予定となっています。例年「PEACEプログラム」では、年2回(1回目:11月中旬から11月末、2回目:1月下旬から2月中旬)の出願期間を設けています。出願要件として、アメリカの学生には主にSATまたはACTのスコアを求めています。

同プログラムは留学生が対象で、かつ日本語能力は問わないため、入学後1年間は本学が用意する寮に居住することが必須です。

*留学生プログラムのため、外国籍保有者または日本国籍と外国籍の二重国籍者が出願可能(日本国籍のみ保有者は不可)。

留学生の割合はどのくらいですか?
本学の2023年の留学生(短期も含む)の割合は、およそ7%。56の国と地域から約1350名を受け入れています。

コロナ禍前は留学生数が1400名を超えており、今後は徐々に回復していく見込みです。近年では「PEACEプログラム」などの留学生向けの新プログラムを開始し、アメリカを中心に欧州、アジアなどから出願があります。

生活面やメンタル面でのサポートや支援はありますか?
まず、渡航時に日本の空港へのお迎えサービスがあります。コロナ禍では安全面の配慮から空港から車で寮まで送迎をしましたが、現在は空港で電車の切符の購入方法や電車への乗り方などをサポートしています。また、来日早々必要となる役所での諸手続き、銀行口座開設などの生活インフラ支援もあります。

寮には管理人が常駐し、さらに先輩の立教生数人をレジデントサポーターに任命して、共に生活しながら日常的にサポートする体制も整えています。

また、本学の国際センターでは、常に留学生の相談を受け付けており、専門的なメンタルケアについては、キャンパス内にカウンセリングセンターを設けています(英語対応可能)。学業面では、アカデミックアドバイザーと呼ばれる教員が、学習の進め方や専門領域の選択、研究内容などに関する相談に応じます。

留学生と国内学生が交流できるサイトやイベントはありますか?
立教…グローバルラウンジと呼ばれるスペースがあり、そこでは年間を通じてさまざまな交流イベントが開催されています。イベントがない日でも国際交流を希望する留学生と日本人学生が自由に集い非常ににぎわっています。

イベントには、「ワールドカフェ」と呼ばれる会話セッション、「カントリーフェスタ」という留学生による出身国の紹介イベント、そしてクリスマスパーティーなど盛りだくさんです。また、日本の浴衣の着付け教室や茶道、武道体験などの日本の文化を楽しめるイベントも開催しています。

他にも、約250のクラブ・サークルなどの課外活動や授業で、英語が堪能な日本人学生と一緒になる機会が多くあります。留学生であっても日本語で行う授業を履修することもできるので、そこで日本人学生との交流機会を得ている学生もいます。このように、世界のさまざまな国や地域から集う学生に加えて、日本人学生とも授業や正課外活動で交流を深めることができます。

アメリカと日本には文化や慣習の違いが多くありますが、ぜひ本学で異なる文化や社会に触れ視野を広げてみてください。立教は皆さんのチャレンジを全力でサポートします!

広島大学|世界中から学生と共に学ぶ全科目の授業を英語で行う「国際共創学科」

日本有数の総合研究大学で学ぶ。卒業後は博士課程に進学する留学生も多数。進路サポートも充実!

日本の大学進学・留学特集 広島大学

 回答者:広島大学・広報室

留学生の割合や最近の留学生事情について教えてください。
コロナ禍が収束して、本学における全学生のうち、留学生が占める割合は約12%となりました(2023年11月1日現在)。

アジア・中近東をはじめ、アフリカ、北米・中南米、欧州からの94の国・地域から1951人が在籍しています。海外留学生向けの受け入れプログラムを再開し、留学生募集のための海外留学フェアに現地参加することも増えてきています。

留学生が貴学に進学する目的は何ですか?
広島大学は 日本における有数の総合研究大学です。本学に在籍する留学生は、その約70%が大学院学生で、主に修士および博士の学位取得が目的です。セメスター留学の場合は、本学との協定に基づく交流プログラムへの参加、そして共同研究・インターンシップへの参加などを目的としています。
広島大学ならではのプログラムやクラスについて教えてください。
総合科学部国際共創学科(IGS)は、世界中から集まった学生が一緒に学び、文化間コミュニケーション能力、相違を認め合う寛容性、グローバルな舞台で求められる多角的視野と思考力、協調性を身に付けることを目的とした学士課程プログラムです。授業は全科目英語で行っているのが特徴で「、文化と観光「」平和とコミュニケーション」「環境と社会」という三つの視点から学びます。

本学ならではのユニークな科目には、戦争・紛争、核廃絶、貧困、飢餓、人口増加、環境、教育、文化等のさまざまな観点から平和について自ら考え、理解を深めることを目標とした「平和科目」があり、留学生も受講することができます。

また、広島大学森戸国際高等教育学院が開講する日本語および日本事情に関する授業科目を受講することも可能です。

入学前後の留学生支援はありますか?
入学前は、留学開始に必要な受入許可書の発行、ビザ申請、宿舎手配といった手続きの補助・支援を行っています。入学後は、本学学生の留学生サポーターと連携し、学業生活支援(履修登録、学内施設案内等)、生活支援(入居サポート、転入届の提出、銀行口座開設、メンタルヘルスケなど)、その他、歓迎会・交流会などの他学生との交流機会の提供、けがや事故の際の個別対応を行っています。
卒業後の進路や就職先のサポートはありますか?
留学生は、卒業後国内外で就職したり、博士課程前期および博士課程後期に進学したりしています。進路・就職先のサポートは、グローバルキャリアデザインセンターにおいて、留学生を含めた学部生から博士課程後期の学生、若手研究者に至るまで窓口を一本化し、キャリア開発支援を実施しています。
広島大学を目指す学生に一言お願いします。
広島大学は、「アリゾナ州立大学サンダーバードグローバル経営学部-広島大学グローバル校(グローバル・イニシアティブ)」を東広島キャンパス内に設置するなど、グローバルキャンパスの実現に積極的に取り組んでいます。キャンパス内にいながら、日本を含め世界各国の異文化を学ぶことができます。ぜひ、本学でのキャンパスライフを楽しんでください。

開志創造大学(仮称)|AIの台頭や自動化で変わる世界。時代や変化に適応できる「スキル」を身に付けよう!

アメリカ在住で「情報学学士」を修得! 時間や学費もセーブできるオンライン完結型。

日本の大学進学・留学特集 開志創造大学

 回答者:開志創造大学(仮称/オンライン)

情報デザイン学部(仮称)について教えてください。
IT革命を経て、コロナ禍をきっかけにさらにデジタル化が飛躍した現代社会では、全ての職種において、情報に関する知識と技術を駆使し、ビジネスを含むさまざまなシーンで課題解決と価値創造ができる情報技術者が求められています。

こうした状況や将来を鑑み、2025年4月に情報デザイン学部を開設します。大きな特徴は本学が通信教育課程を取り入れていること。つまり、卒業まで全てオンラインで学びスクーリングもありません。授業の動画はコンピューターやスマートフォンを使っていつでも視聴することができるので、時間や場所で制約されることもないのです。アメリカに住んでいる方でも時差を気にせずに授業を受けられます。

設置される予定の学部について教えてください。 
開設を予定している「情報デザイン学部(仮称)」の代表的な科目は「データサイエンス入門」「デザイン思考」「デジタルマーケティング」「PBL(課題解決実践)」です。情報技術の知識やスキルなどを学ぶ他、日本にとどまらずグローバルな社会で活躍できるコミュニケーション力や広い視点を育み、組織などでリーダーシップを発揮できる、そんな人材を養成することを目指しています。
オンラインによる通信教育のメリットは?  
時間や場所にとらわれないことはもちろんですが、学費も通学制大学と大きく変わります。一般的な通学制大学の4年間の学費総額は469万円*ですが、本学は103万円~です。また、通学するための住居費などを新たに捻出する必要もないので経済的なメリットはかなり大きいと言えます。

* 文部科学省「令和3年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査」より。内訳は入学金24万5951円、授業料93万943円×4年分、施設設備費18万186円×4年分。

想定される卒業後の進路は?
本学で修得できる学位は「情報学学士」です。卒業後の進路としては、ソフトウェア技術者、サービス技術開発者、データサイエンティスト、セキュリティースペシャリスト、研究・開発職、ITコンサルタントなどが考えられます。今後、AIやIoTなどの最新技術で仕事の内容は大きく変わっていくことが予想されます。今だけでなく先の大きな変化に対応できる新しいスキルを身に付けることが必要です。

 

2025年4月を目指して事業創造大学院大学は「開志創造大学(仮称)」に名称変更を予定しています。完全オンラインで学べる通信教育課程情報デザイン学部(仮称)を設置予定。詳しい内容が載った資料などの請求方法は公式サイトで。

※このページは「ライトハウス・カリフォルニア版2024年4月号」掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。